二つのJ
「われらにうるわしき名あり。二者ともに J をもって始まる。イエス(Jesus)なり、日本(Japan)なり。われはこれを称して“二つのJ(two Js)”という。われの宗教はこの二者を離れては存在せず。イエスのためなり、日本のためなり。イエスの栄光をあらわさんため、日本の名誉を傷つけざらんためなり。(中略)イエスのため、日本のため。イエスのため不義におちいるなかれ。(中略)二つの J を忘るなかれ。」 (内村鑑三注解全集第10巻65項)
これは内村鑑三の唱えた有名な“二つの J ”です。彼にとってはこの二つは分離してはありえない存在でした。それゆえ日本の名誉を傷つけること、不義に陥ることは、日本のためだけでなく、イエスのためになすべからざることでありました。彼は心からイエスを、日本を愛したのです。
今「愛国心」が問題となっています。一人の国民として、自分の母国を愛する心を持つことは当然のことです。しかし「愛国心」のゆえに、他国を侵略したり、不利益を与えることがあってはなりません。過去に犯した過ちを検証し、国家が同じ事を繰り返すことがないように、国の為政者のために祈るだけでなく、見張り、意見し、必要があれば立ち上がることこそが、真の「愛国心」であります。母国が名誉を傷つけないため、不義に陥らないために。